明日から本気出す

日々のお勉強をメモしたいです。明日からは本気出します…。

レオポルド、スティアーズほか (2011) 政治理論入門①

政治理論の方法論の論文集ですね。分析系の章はそこまで多くはないので全てはメモしないですし、今まで丁寧すぎた感があるので興味があった章だけ雑にまとめと感想を。

 

1章 分析政治哲学(ダニエル・マクダーモット)

ー分析系の政治哲学は科学と類比的に捉えることができる。直観の体系化によって理論を構築し、理論の信頼性は究極的には人の規範的信念に照らして検証されることになるが、それは科学が自らの経験的信念に依存するのと同様である。競合する理論をめぐる決着も究極的にはそれを受け入れるか、否定するかについて人の価値判断の問題に行きつくため、検証においておのずと限界はある。(要約)

ーメタ倫理学上の問題を無視して道徳的事実を仮定するのは科学における仮定と一緒みたいな記述は気になる。メタ倫理の問題はその後の規範倫理学上のポジションに影響与えるので。

ーある程度科学と類比的に説明するのはいいと思うけど、最後は価値判断に依存しますってのはどうなんだろうか?少なくとも分析政治哲学一般の方法論を説明する論文にはなってない気がするし、筆者のコミットメントを明かしただけのような…

 

2章 地球人のための政治哲学(デイヴィット・ミラー)

ーコーエンによる、全ての事実に依存する原理は究極的には事実に依存しない原理に依存するというテーゼは誤りで、事実は、ある特定の原理を有意味にするような環境が成立していることを示すことによって原理を根拠づけている。この時反映させてよい事実とは、人間の一般的事実だけでなく、個別社会の具体的事実も含む。また考慮しなければならない実行可能性は物理的・社会学的法則だけでなく、市民からの経験的な受容可能性も含む。(要約)

ーちょっとコーエンの批判が理解できてないので、またコーエンの論文を確認した後でゆっくり読みたいが、率直に言って批判になっているのかよく分かっていない。ミラーの事例は事実「だけ」から規範的な原理を引き出しているようには見えないので、結局はコーエンを否定できていない気がするけど…

ー正直なところ、方法論上の対立の問題はメタ倫理学上のコミットメントを負わざるを得ないと思っているし、今回も「根拠づける」の意味をめぐっていろいろと複雑な議論になっていたので、メタ倫理をやったうえで政治哲学に還元しましょうね、というお気持ちになっている(これはマクダーモットへの当てつけ)。

 

 

しばらく残りの章は読まないです(そこまで優先度高くないので)。まあ夏休みあたりになると思いますが、G.A.CohenのFacts and Principlesはさすがに読まないといけないですね。L.Valentiniほかが、この論文のメタ倫理学的な解釈・批判みたいな話をしてるらしいのでそれも読もうと思います(半年くらい前から同じこと言ってる)。

このへんを読みたいと思っていて、リアルで僕と面識ある人がいらっしゃれば、ぜひ一緒に読書会などしてくれると嬉しいです。